2022.08.01
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2021.07.30
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2020.04.13
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私たちは大気・水・食料などの生命基盤、地域の風土・文化、そして安全な暮らしを自然の恩恵、すなわち生態系サービスに依存しています。生態系サービスは、生態系の構造と機能をつかさどる生物多様性に支えられています。しかし、人間による生息地の破壊や乱獲は、トキなど多くの野生生物を絶滅させてきました。また、人口減少・高齢化による地域産業構造の変化は、里地里山を荒廃させて、生物多様性を減少させています。そのため、持続可能な社会、生活を維持していくためには、生物多様性の保全を核とした、劣化した生態系の構造と機能を復元、回復する自然再生が必要不可欠です。
新潟大学は、野生絶滅したトキの野生復帰という世界的に注目されている事業の現場に立地する地元大学として、地域の自然再生を支援していくことを強く期待されています。里地里山の自然再生には、開発で失われた里山の自然環境の復元、里山に入り込んだ外来生物の駆除、農地の荒廃と狩猟圧の減少で顕在化した鳥獣害により劣化した生態系、および、自然と共存可能な地域社会の復元も含まれています。まず、佐渡のシンボルであるトキの再導入生物学を確立し、生物多様性の成り立ちを遺伝子、種、個体群、群集、生態系、景観の様々なレベルから解明し、生態系の復元手法を明確にし、地域社会が自然再生を受け入れ、トキと共存するための共生社会を提案する、“佐渡モデル”の確立を目指しています。次に、この"佐渡モデル"を日本国内や東アジア地域へ適用するために拡張・一般化することで、普遍的な「自然再生学」として体系化することを目指します。将来的には、稲作を主体とした農耕地からなる里山景観をもつアジア地域の大学・研究機関と連携し研究を進めることで、この中心的な「自然再生学」の教育・研究拠点となることを目指しています。
自然再生の実現には、実践的研究活動を通し、自然科学を横断し、人文・社会科学とも融合した学際的環境科学で対応しなければなりません。そのため、自然再生学には、理・工・農学を中心とした自然科学と、地域社会が自然再生を受け入れるための合意形成や社会システムの提案などの人文・社会学を融合させることが必要となります。里山領域では、地域の生物多様性の実態を解明し、地域に密着した自然再生手法を提案しながら、自然との共存が可能な社会システムを模索し、自然科学と人文・社会科学が融合した学際的環境科学の構築を目指しています。